もっと丁寧に書くと「底のスペーサークッションを外せば収納できる」が正しい。
今まで使っていたギグバッグがボロボロになってきて、流石に買い換えねば、と感じていたものの、よく弾いている Fender Jazzmaster は他の Fender ギターと比べて全高が長く、収まるケースの選択肢が少ないのもあって、満足する製品が見つからないままズルズルと古いギグバッグを使い続けていた。
そんな中、JMを含む現行の Fender ギターにこの Urban Gear Bag がバンドルされるキャンペーンをどこかの楽器店が展開しているのを見かけて、セット売りするぐらいなら問題なく収納できるのだろう、と判断の上で注文した。
Fender Urban Gear Bag とは
2020年の秋頃に販売開始された新しめのギグバッグで、ギターだけでなくベース用もある。正式な品名は「LIMITED EDITION URBAN GEAR ELECTRIC GUITAR GIG BAG」。日本限定での流通らしい。
これまでよく使われていた高品質なギグバッグ・セミハードケースと、廉価帯ソフトケースの中間ぐらいな価格設定で、「スタイリッシュでそこそこ高品質」な印象を受けた。
Charcoal Grey / Coyote / Khaki の3色ラインナップで、そのうち最も Urban みを感じた Charcoal Grey を注文した。が、実際にはあまりグレーっぽい色味ではなく、青っぽい。商品写真も普通に紺色っぽい感じの映りだし、ネイビーと呼んで差し支えないと思う。他のカラーバリエーションもどことなく BRIEFING みたいな雰囲気。
カーキにコヨーテといったバリエーションや、ネック部分の紐(エラスティックコード)など、全体的にミリタリーな意匠になっていて個性的だが、既存のギグバッグに対するオルタナティブな選択肢として、これくらいはっきりと方向性の定まったものがあるのは好ましく感じている。
よくあるサイズのギターを入れた感じ
よくある Fender ギターの例としては微妙っぽい Telecaster Deluxe を収納した写真だけど、サイズ感自体は普遍的なテレキャスターのそれなので特に問題ないはず。
内寸に少し余裕を持たせた設計になっていて、付属のスペーサー的なクッションを底部に挟むことでぴったりと収納できる。
Fender 以外だと、例えばレスポールも収納可能だ。これは Les Paul Junior だけど、多少アーチがあろうが Bigsby が付いてようが問題ないと思われる。ネック部分には写真のようにクッションが付いているので、ヘッド角度があるギターでも安心して持ち運べそうな気がする。
Jazzmaster を入れた感じ
肝心の Jazzmaster を収納してみたところ、こういう感じで問題なく収まっている。
先に紹介したスペーサークッションを外すと Jazzmaster がぴったり収まるサイズ感だった。かなりギリギリな感じで、でもギター本体とケース側のどちらにも負荷がかかったりはしなそうな塩梅。もちろん Jaguar も収納できて、こちらは JM より短い分ちょっと余裕がある。
ちなみにこの写真で Thurston Moore JM に付けている質感の良いストラップはギターリペア工房PathのWEBショップでオーダーできる。
何なら Pedaltrain も入る
これにはかなり驚いたのだけれども、広めに設計されたメインポケット部には Pedaltrain Metro 16 みたいな規模のエフェクターボードも収納できてしまう。
Metro 16 だと本当にギリギリ入る感じで、他にもいくつか適当に試したところ、以下のような持ち物の運搬はこのギグバッグで完結できそうだった。
- iPad Pro 11インチ
- MacBook Pro 13インチ
- 少し厚めの譜面・スコア
また、メインポケット内は仕切りで小物を区分けして仕舞えるようになっていて、自分の場合スライドバーなんかをよく見失うので便利に感じた。
メインポケットの上側についているポーチは取り外しができ、ショルダーストラップも付属しているのでギグバッグ本体と分離して単体で使えるとのこと。こちらも BOSS のコンパクトエフェクターが1個入るぐらいの容量はある。
他の収納としてはネック部分に張り巡らされているエラスティックコードと、傘を差し込めるループがあり、どちらもギグバッグを背負いながらだと嵩張りがちな物を収納できるので助かる。
背負った時の印象
まず背負った段階での第一印象として、ショルダーパッドがしっかりしていて疲れにくそうに感じた。廉価帯のものでもしっかりした製品はあるのだけれど、触った時の質感なども含めると確実に価格分の品質はあると見て良さそう。
また、背負った時の位置が高くなり過ぎてしまい、ドアの上辺と衝突するようなケースを懸念していたのだが、そこも特に問題は無さそうだった。平均的な身長の筆者が背負うと大体ケースの天辺まで180~185cmくらいで、大体のドアならそのまま通り抜けられるはず。
素材自体はよくあるオックスフォード生地で、長時間の雨天での耐水性とかに関してはあまり望むべきではないと理解した。
MONO や NAZCA(聞くところによると盗難に遭いやすいようです)ほどガチな感じでもなく、Fender ギターを買ったら付属していたケースをそのまま使ってるみたいな、良い意味でのラフな感じとミリタリー意匠のバランスが小気味良い製品で、取り立てて不満もなく、購入してかなり満足できた。
Fender のアクセサリー類はちょくちょく面白い製品が展開されていて(現行のギターは総じてあまり好みの音ではないのだけれども)、ちょっと前にもストラップを購入したところ質感や色味がかなり気に入ってしまった。このギグバッグも、挑戦的なコンセプトと、日本限定での利便性の両方を追求したみたいな気の利いたアクセサリーだと感じた。
ギグバッグは多分そんなに頻繁に買い替えるものでもなくて、実際これの前にJMを収納していた安いケースは10年ちょっと使っていた。今後はこのケースを10年使えれば、みたいな前向きな気持ちで生活にフィットしそうな買い物だったと思う。